企業法務

2009年03月29日

2009年3月24日、民事再生手続中だったSFCG(旧商工ファンド)が、資金繰り対策の一環として進めていた債権売却で約700億円についての二重譲渡を原因として民事再生手続が廃止され、破産手続きに移行したとのことです。

保全管理人で破産管財人への就任予定は、倒産のエキスパートである弁護士の瀬戸英雄先生です。

民事再生法では、「決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないことが明らかになったとき」(民事再生法191条1号)には、民事再生手続を廃止することになっています。

今回、債権の二重譲渡問題が明らかになったことから、決議に付するに足りる再生計画案の作成の見込みがないものと裁判所が判断したことになります。

今後は、破産管財人が実態を調査・解明した上で、整理し、事業を売却するなどして会社財産を現金化し、各債権者に配当の上、会社は消滅することになります。

民事再生手続は、比較的間口が緩やかになっており、申立自体は認めることが多いのですが、今回のように問題が発覚した場合には、破産手続に移行することもありますので、注意が必要です。

実態の解明を見守りたいと思います。



taniharamakoto at 13:44 

2009年01月04日

昨今の不況による倒産件数の増加で、「中古オフィス用品」が値下がりしているそうです。

大手リサイクル業者によると、ここ数ヶ月で引き取り量が1.5倍になっていると言います。

ニュースはこちら

企業が破産した場合、裁判所から破産管財人が選任されます。破産管財人は、会社の財産をすべてお金に換えて、そのお金を債権者に配当する業務を行います。

通常、会社はオフィスビルやマンションの一室を賃借して事業を営んでいますので、室内にあるオフィス用品や什器備品を処分して撤去し、室内を原状回復して、ビルなどの所有者に返還する事務も破産管財人が行います。

しかし、倒産した会社のオフィス用品など高価で売れるはずもなく、通常は、倒産した会社の動産類を専門で買い取る業者に動産買い取りと不要品廃棄を依頼することになります。

そして、買い取られたオフィス用品類が、中古リサイクル業者に転売され、売られていくことになるのです。

私も相当数の破産会社の破産管財人を務めましたので、多数のオフィス用品を買い取り業者に売却致しました。そのオフィス用品は、今、どこかの会社で使用されているのかもしれません。



taniharamakoto at 19:01 

2008年12月08日

不況の嵐が吹き荒れています。

東京商工リサーチの昨年1年間の倒産件数は、1万4091件だったのに比べ、2008年は、1月〜11月までの11ヶ月間で、すでに昨年を抜き、1万4284件に達したそうです。

当事務所でも事業再生や倒産事件を扱っておりますが、今年は増加傾向にありました。来年は、もっと増えると予想しています。

破産は最後の手段ですが、その前の段階であれば、事業を再生させることも不可能ではありません。事業再生の方法は色々あります。せっかく再生できるのに、手遅れになってしまい、破産したり、夜逃げしたりするのはもったいないと言えるでしょう。

したがって、なるべく早期に専門家に相談することが大切です。

 



taniharamakoto at 19:07 

2007年11月14日

2007年11月6日に、NPO首都圏事業再生支援センター主催のプロフェッショナルセミナーで「プレパッケージ型民事再生法」について、講師として講演をしてきました。

民事再生においては、事業を劣化させないためにプレパッケージ型が採用されることがありますが、それに伴う注意点などもありますので、その点についてお話させていただきました。

講演が終わった後は、再生アドヴァイザーの方々と、懇親会にて意見の交換をしてまいりました。再生に対する情熱が熱い方々が集まっており、少なからず影響を受けました。

 



taniharamakoto at 18:56コメント(0)トラックバック(0) 

2005年04月16日

金融庁は、取引所に上場するすべての企業に対し、経営陣から独立した社外取締役の起用を義務付けるルールを採用するよう、東京証券取引所など主要な取引所に要請するそうです。
 
産業界では、「ビジネスの現場を知らない者が取締役になっても、経営判断ができないし、監視機能も担えない。」と反発する動きもあるそうです。
 
しかし、ビジネスの現場感覚で行われる不適正な行為や違法行為等をチェックするのが社外取締役の役目だとするならば、ビジネスの現場を知らないことはむしろ望ましいこと、という考え方も成り立つでしょう。
 
その意味で、コンプライアンスの一環として、顧問弁護士とは別の弁護士や、商法学者等を取締役に選任し、ブレーキとしての活用を積極的に考えてもよいのではないか、と考えます。
 
経営は守りが7割、攻めが3割と言われることがありますが、最近特に守りの重要性が高まってきている気がします。


taniharamakoto at 16:48コメント(0)トラックバック(2) 

2005年03月24日

ニッポン放送の新株予約権発行差止仮処分決定認可決定に対する保全抗告事件に関し、東京高裁は、3月23日、抗告を棄却し、ライブドアに軍配をあげました。
 
主要な争点は、ご存じのとおり、ニッポン放送の新株予約権発行が、「著しく不公正な方法」と言えるかどうかです。東京高裁は、東京地裁決定と同じく、本件新株予約権の発行が「著しく不公正」と判断したものです。
 
今回も「主要目的ルール」を使用していますが、その適用の前提条件は「会社の経営支配権に現に争いが生じている場面」であることが必要です。今回は、ニッポン放送に関して、ライブドアとフジテレビとの間で経営支配権に現に争いが生じていました。
 
次に、「主要目的」の内容は、次のとおりです。
(1)敵対的買収によって経営支配権を争う特定の株主の持株比率を低下させ、
(2)現経営者又はこれを支持し事実上の影響力を及ぼしている特定の株主の経営支配権を維持・確保する。
今回の新株予約権の発行目的は、ライブドアの持株比率を低下させ、フジテレビの経営支配権を維持・確保することが目的でしたから、この要件を満たします。
 
裁判所は、上記の要件を満たした場合には、「原則として」著しく不公正な方法による新株予約権の発行であると断じます。
 
ただし、例外があります。それは、敵対的買収者が、株式の高価売り抜け等を目的とし、会社を食い物にするような「濫用目的」である場合です。このような場合には、主要目的ルールの例外として、許される場合があるというのです。そして、この事実は、ニッポン放送側が疎明、立証してゆく必要があります。
 
ライブドアが過去に企業を食い物にして企業価値を著しく低下させた例があれば別ですが、今回、ライブドアは買収後自ら経営してゆくことを明言しておりましたので、この点が疎明できなかったのは当然といえます。
 
この疎明ができない結果、ニッポン放送は敗れる結果となりました。
 
なお、東京高裁は、ニッポン放送側が主張した「ライブドアの支配下に入った場合には、企業価値が著しく毀損する」という点については、「経営判断の法理」を持ち出して裁判所が判断すべき事項ではない旨判示しました。
 
買収者が株式の高価売り抜けや企業の切り売り等の「濫用目的」を公言しながら買収をしかけてくることは通常では考えられないので、今回の高裁の基準からすれば、今回のような経営支配権の維持を主要目的とする新株予約権の発行による防衛の道は事実上閉ざされたと言えそうです。
 
平時の敵対的買収対策がより需要になったといえます。
 
 
 


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2005年03月12日

3月11日付で、ライブドアが求めたニッポン放送のフジテレビジョンに対する新株予約権の発行差止仮処分決定が出されました。結果は、5億円の担保を条件として、新株予約権の発行を差し止めるというものです。
 
仮処分手続では、今回の新株予約権の発行が(1)「特に有利なる条件」によるものであるかどうか、(2)「著しく不公正なる方法」によるものであるかどうか、が争点となりました。
 
しかし、(1)については、以前に書いた予想どおり、たいした争点とはならず、一刀両断されています。
 
主要な争点は、(2)の不公正発行かどうか、という点です。
 
新株予約権の不公正発行基準を判断した裁判所の決定は、今回が初めてだと思いますが、新株発行の不公正発行基準は、過去にいくつか判例があります。それら判例では、新株発行の主要な目的が「資金調達」であればOK、主要な目的が「経営陣の支配権維持」であればNO、という「主要目的ルール」で判断されていました。
 
今回も、裁判所は、まずこの「主要目的ルール」のフィルターを通しています。ニッポン放送は、新株予約権発行理由を、「企業価値の維持」と「マスコミとして担う高い公共性の確保」の2点と公表しています。公共性の確保については、ライブドアの行った立会外取引の違法性を疎明しない限り認められませんから、ここでの主要な争点は、「企業価値の維持」という目的の意味です。
 
ニッポン放送は、フジサンケイグループに残ることが「企業価値の維持」につながるのだという主張をしていたことから、裁判所は、今回の新株予約権の発行は、「現在のニッポン放送の役員」の支配権維持を目的とするものではないが、「フジサンケイグループに属する経営陣」による支配権の維持に他ならないではないか、という判断しました。つまり、フジサンケイグループに残ることを強調しすぎたばかりに、支配権維持目的を判断しやすくしてしまったものです。
 
新株予約権発行の主要な目的が「経営陣の支配権維持目的」と判断されてしまうと、原則として、不公正発行と判断されます。不公正ではないとされるためには、それでもなお発行を正当化する「特段の事情」が必要です。
 
今回のニッポン放送の主張は、ライブドアの支配下に入るよりもフジサンケイグループ内に残ることが「企業価値」を維持できるということですから、「特段の事情」と言えるためには、ライブドアの支配下に入ることにより、現在の企業価値が著しく毀損されることをニッポン放送側で疎明しなければなりません。
 
この点を疎明するため、ニッポン放送側は、ライブドアの支配下に入ったときは、フジサンケイグループからの取引を全て打ち切られる、という主張を持ち出しました。しかし、長年継続的取引をしていた取引先に対して突然取引を打ち切ることができるかどうかについては、判例もわかれているところですし、ニッポン放送がライブドアの支配下に入ったことを理由に取引を打ち切るということが経営者として合理的な判断ではないことは明らかです。確かにライブドアは、ニッポン放送を支配下におさめた後の明確なビジョンを示していませんが、だからといって企業価値が著しく毀損するとも思えません。
 
 
ライブドアが過去に他の企業の株を買い占めてすぐに高値で売り抜けるような行為をしていたり、企業を買い占めた上で企業を解体し、切り売りしたりするような行為をしていれば、今回の買い占めの目的もそのような目的であり、企業価値を著しく毀損するものだという主張も通るでしょう。しかし、ライブドアは、ニッポン放送の買収をメディア進出の足がかりと位置づけていることから、むしろ企業価値を高めることを目指していると判断されます。
 
このようなことから、ニッポン放送側では、ライブドアの支配下に入ったときに、企業価値が著しく毀損されるということを疎明しきれず、今回の裁判に敗れる結果となったのだと考えます。


taniharamakoto at 14:16コメント(2)トラックバック(0) 

2005年03月05日

本業が忙しく、全然ブログが更新できませんでした。この間に、ライブドアの主任の弁護士が「個人的理由」により辞任してしまいました。
 
様々な疑問が飛び交っているようですので、疑問に対して意見を述べてみたいと思います。
 
Q「事件の途中で弁護士が降りることはよくあること?」
 
A「一般的には、よほどの理由がない限り、辞任することはありません。特に本件のように、緊急的な仮処分事件の最中に辞任することは、滅多にあることではありません。」
 
Q「過剰取材が原因?」
 
A「過剰取材が原因で辞任することはまず考えられません。電話での取材申し込み、待ち伏せによる取材等に対しては、裁判中を理由にすべてノーコメントを貫くことが可能です。他の原因があるはずです。」
 
Q「報酬のトラブル?」
 
A「弁護士報酬は着手金と報酬金にわかれます。今回の場合、着手金を払ってもらっていなければ辞任するのは当然ですが、それは考えにくいのではないでしょうか。報酬の決定方法についても、今回は、和解ではなく、仮処分決定ないし却下までいくでしょうから、事前の取り決めがあるはずです。したがって、報酬のトラブルは考えにくいと思います。」
 
Q「状況が不利になり、負けるのが嫌になったから辞任したのではないか?」
 
A「あり得ません。如何に依頼者の状況が不利であろうとも、その状況の中で依頼者のために全力を尽くすのが弁護士です。しかし、依頼者が決定的な嘘をついており、それが原因で依頼者と衝突して相互の信頼関係が失われた場合には、辞任することがあります。しかし、それは、信頼関係の問題であり、事件の勝ち負けとは関係有りません。」
 
Q「ライブドアからクビになったのでは?」
 
A「これは可能性があります。依頼者から解任されれば弁護士は事件を継続できません。依頼者が弁護士を解任したことがわかると、裁判所は、ライブドアがかなり内部的にも問題を抱えていると推測し、裁判に悪影響を及ぼします。そこで、悪影響を回避するため、個人的理由により辞任した形を取った可能性は否定できません。」
 
Q「フジテレビから買収されたのでは?」
 
A「あり得ないでしょう。そんなことをしたら、懲戒になります。いくらもらっても買収されることはないでしょう。」
 
Q「主任弁護士辞任によりライブドアは不利になるか。」
 
A「これは否定できません。まず裁判所や世論に与える印象がよくありません。もちろん、裁判所は印象で判断するわけではありませんが、判断するに際し、内部のトラブルを推測させ、微妙な影響を与えることはあります。次に、裁判というのは、まず戦略を立て、その戦略に則って主張立証を行うものです。途中で弁護士が変わることは、手術中に医者が変わることと似ています。望ましいことではありません。」
 
Q「辞任により、仮処分の結論が延びる可能性は?」
 
A「あります。今回は、第1回審尋が3月1日、第2回が3月4日とかなりの短期間で決着を着けようとしていました。ペース的には、来週中に裁判所が結論を出すこともあり得ると予測していました。主任弁護士が交替になることで、ペースに狂いが生ずることは考えられます。」
 


taniharamakoto at 13:51コメント(1)トラックバック(0) 

2005年02月27日

昨日の補足です。手続面の補足です。
 
今回、ライブドアは、法的手続として、新株予約権発行差止「仮処分」という手続を選択しています。なぜ「訴訟」ではないのでしょうか。
それは、手続に要する期間の問題です。訴訟というのは、権利関係を確定する手続で、立証に「証明」を要求します。判決までには多くの手続があり、1年程度はかかってしまいます。今回の新株予約権の行使の際の払込金の払い込み期日は、平成17年3月24日であり、訴訟を行っている間にこの期日が経過してしまい、訴訟を行う意味がなくなってしまいます。
 
そこで、訴訟を行っていては遅すぎるような場合に、仮に暫定的な地位や権利を与えるための仮の裁判手続が必要となってきます。これが「仮差押」であり「仮処分」です。
 
したがって、仮処分の権利の証明程度は、「証明」までは必要なく、「疎明」で足りることになっています。「証明」とは、認定すべき事実について裁判官が確信を抱く状態まで立証することです。「疎明」とは、裁判官に一応確からしいとの心証を得させれば足ります。その意味でも訴訟よりも仮処分の方がライブドアに有利です。
 
手続の実際としては、裁判所が、当事者双方を呼び出して、疎明資料を提出させ、審尋することになります。平成17年3月24日までには決定が出されます。たとえ充分に審理が尽くされた状態ではなかったとしても決定が出されるはずです。そうでなければ仮処分の意味がないからです。
 
ところで、仮処分は、権利を「証明」させずに暫定的に地位や権利を与えてしまう点で、仮処分が出されてしまった場合には、現状を固定されてしまうフジテレビ側に損害が発生する可能性があります。つまり、差止の仮処分ではライブドアが勝って後の訴訟でフジテレビが勝った場合には、フジテレビは、本来現状を固定されるはずがなかったのに、不当に固定されてしまったわけです。したがって、その場合、フジテレビは、ライブドアに損害賠償請求をすることができる場合があります。その時のために、裁判所は、ライブドアの仮処分を認める場合には、一定金額の「保証金」を立てさせる場合があります。
 
この保証金の金額ですが、平成16年6月1日の宮入バルブ新株発行差止請求事件では、1,000万円でした。平成元年7月25日のいなげや・忠実屋事件では、0円でした。0円だった理由は、新株発行を差し止めても、相手方には重大な不利益を被る疎明がない、というものでした。
 
今回は、0円ということはないでしょう。もし新株予約権の発行が差し止められてしまうと、その間にライブドアがニッポン放送株を買い進め、50%を超過してしまう可能性があります。そうなると、ニッポン放送には回復しがたい重大な損害が発生してしまうことになるからです。そういう疎明はできるでしょう。
 
さて、昨日も書きましたが、ニッポン放送は、新株予約権の発行理由から「資金調達の必要性」をはずしてしまいました。入れておいた方が良かったのではないか、と思うのですが


taniharamakoto at 21:36コメント(0)トラックバック(0) 

2005年02月26日

ニッポン放送は、平成17年2月23日の取締役会において、フジテレビジョンに対する第三者割当による新株予約権の発行を決議しました。ライブドアは、翌24日、これに対し、新株予約権の発行差し止めを求める仮処分を東京地裁に申請しました。
 
ニッポン放送は、新株予約権発行理由を、「企業価値の維持」と「マスコミとして担う高い公共性の確保」の2点と公表しています。(記事)そして、その説明として、ライブドアの支配下に入ることからの防衛目的だということを明確に断言しています。
 
新株予約権と混同しやすいものに、「新株発行」というものがあります。「新株発行」というのは、実際にお金を払い込んで新株を発行するものですが、今回の「新株予約権」の発行というのは、予約権を発行された者(フジテレビ)が、決められた期間内(平成17年3月25日から同年6月24日まで)に、予約権を行使することにより、あらかじめ決められた価格(5,950円)で新株ないしニッポン放送の自己株式を取得できる権利のことです。
 
まず、なぜ今回、「新株発行」ではなく、「新株予約権」の発行なのでしょうか。まだフジテレビによるTOB期間中であり、最終的にフジテレビの持株数が読めないということも1つの理由ですが、実はもう1つ理由があります。
「新株発行」では、ライブドアの新株発行差し止め仮処分が容易に認められてしまうからです。なぜなら、「新株発行」というのは、企業の資金調達を目的として行われるものであり、過去の判例からすると、主要な目的が、資金調達ではなく、会社の支配権の維持である場合には、不公正な発行方法ということで、発行差し止め仮処分が認められることになってしまうからです(主要目的ルール)。その間にもライブドアはニッポン放送の株を買い進めますから、差し止め仮処分が認められた時点で、ライブドアに次の一手を打たれ、負けてしまう可能性が高いと認識したものと思われます。
 
これに対し、「新株予約権」は、平成13年改正により広く認められるようになった制度で、まだ主要目的ルール等判例法理が確立していないこと、もともと取締役や従業員へのストックオプション等で使われており、資金調達の目的性が「新株発行」よりは低いこと、企業買収防衛としてのポイズンピルとしての使用も念頭に置かれていたこと(今回はポイズンピルではありません)、等の理由から、企業防衛目的に正当性がある場合には、資金調達目的が主要目的ではない場合でも差し止め仮処分が認められない可能性があると判断したためであると推測しています。そうでなければ、新株予約権発行目的を「資金調達」として説明しているはずです。
 
そして、ニッポン放送は、新株予約権の払込金額を5,950円としていますが、これは、株主総会決議が必要な「特に有利な発行価格」に該当しないようにするためです。現在、ニッポン放送の株価は、6,400円ほどで、それよりは低い価格となっていますが、東京証券取引所市場第二部における平成17年1月14日までの3ヶ月間の終値平均(4,937円)よりは高額です。現在の高値は、ライブドアによる株買い占めが発表された後の一時的高騰であり、一時的現象と評価されます。したがって、公正な発行価額の算定からは排除され、それほどの争点にはならないものと考えます。
 
したがって、主要な争点は、不公正発行かどうかです。
 
今回の新株予約権の発行目的は、「企業価値の維持」と「マスコミとして担う高い公共性の確保」です。この目的が、ライブドアの持株比率を大幅に低下させてもなお合理性があると認めらるかどうか、ということになります。自社の40.5%もの株を持つ株主の子会社となることを防ぐことが、その株主を含めた全株主の利益になるのか、判断されることになります。
 
ニッポン放送は、ライブドアの子会社となる場合よりも、フジテレビの子会社となる方が、企業価値を維持できるのでしょうか。
また、ライブドアの子会社となることにより、マスコミとしての公共性が確保されなくなるのでしょうか。
 
 
東京地裁の判断に注目したいと思います


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