判例

2006年08月24日

27歳のキャバクラ嬢が、美容院で意に反して髪をバッサリと短くきられたことにより、収入が減り、精神的ショックも受けたとして、美容院を訴えていました。

東京地裁は、美容院側に24万円の支払いを命じましたが、美容院側は控訴。

東京高裁は、2006年8月24日、東京地裁の判決を支持し、美容院側の控訴を棄却しました。

ニュース

「髪は女の命」とも言いますので、女性が第一審で訴えたのは理解できます。

しかし、美容院側が控訴した控訴審はどうでしょうか。控訴をするにも弁護士費用がかかります。美容院側は、控訴審で勝ったとしても、24万円が0円になるだけでしょう。弁護士費用と時間を考えたら、割があいません。

それでも控訴せざるを得なかったのは、「客の希望に反して髪を短くした美容院」という悪い噂がたったからかもしれません。そんな噂がたったら、大打撃です。

そうだとすると、その汚名を払拭するため、なんとしても勝ちたいところでしょう。

もちろん真相はわかりません。しかし、経済的に見ると損な裁判でも、やらざるを得ないことがあります。裁判というのは、目的ではなく、あくまで目的を達成するための手段ということでしょう。



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2006年08月17日

出会い系サイトの広告に顔写真を無断で使用されて肖像権を侵害されたとして、女性が、広告制作会社、その代表者、写真を持ち込んだ写真家に損害賠償請求の裁判を起こしました。

東京地裁平成17年12月16日判決は、広告制作会社及び写真家に、それぞれ120万円の損害賠償金を支払うよう命じました。

出会い系サイトの顔写真や、ポスティングされる風俗系のチラシの顔写真について、常々本人の同意を得ているのか疑問に思っていました。今回の事例の他にも無断で使用されていることもあるのではないでしょうか。

このように顔写真を利用されるときは、ご本人の精神的ショックは大きいことでしょう。

カメラマンは他人の肖像を扱うわけですから、職業倫理を守って慎重に写真を取り扱っていただきたいと思います。

デジタル時代の著作権最新Q&A―「知らなかった」ではすまされない
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2006年03月12日

2006年3月7日に最高裁判決がありました。

札幌市の貸金業者「ゴーリキ」(←強そうな名前です)が、年利約1200%の利息で金を貸し付けて返済させていた事案で、借主がそれまでに支払った109万円の返還を求めた訴訟です。一審札幌地裁は、利息制限法を超過して支払った利息分の返還を命じ、二審の札幌高裁は、元本も含め、全ての返還を命じていました。

最高裁では、「契約自体が、貸金に名を借りた違法行為で無効。返済額は不法行為による損害。元本も保護に値しない」として、借主が支払った金員の全額の返還を命じました。

要するに、「実際に貸し付けたお金も返す必要なし。」ということです。

「借りた方だって悪いんじゃないの?」「返す約束をしたんだから、少なくとも元本は返すべきでは?」という意見もあるでしょう。

しかし、最高裁は、そのような価値観があったとしても、あえてヤミ金撲滅の道を選んだということではないでしょうか。ヤミ金がお金を貸し付けたとしても、その実際に貸したお金すら返す必要がないというのであれば、商売あがったりです。そうやってヤミ金を割に合わない商売にしてしまい、衰退させようということです。

現実に、ヤミ金で荒稼ぎをしているグループは摘発を受けています。ヤミ金を続けるには、携帯電話や仮名口座、拠点を次々と変えていかなければならず、警察による摘発を恐れながら活動しているのが実態です。

だいぶ振り込め詐欺に鞍替えしてきているようですが、今後は、また新たな手法が編み出されていくことでしょう。そして、それを規制する、というイタチごっこです。

真説 光クラブ事件 ―東大生はなぜヤミ金融屋になったのか―
クレサラ・ヤミ金事件処理の手引



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2005年07月19日

消費者金融「キャスコ」に対し、債務者が過去の取引履歴を開示するよう請求したところ、キャスコがこれを拒否した件につき、取引経過開示拒否は違法だとして債務者が損害賠償請求をしました。
 
この事件について、最高裁第三小法廷は19日、「貸金業者には開示義務があり、拒めば不法行為として賠償責任を負う」との初判断を示しました。
 
裁判実務では、お金を貸し付けたことについては消費者金融側が立証責任を負担し、お金を返したことについては債務者側が立証しなければならないのが原則です。
 
簡単に言うと、今回の最高裁判決では、この原則を覆し、貸金業者は、債務者から請求があった場合には、過去にお金を貸しつけた分だけでなくて返済された分の記録まで開示しなければならなくなります。
 
これは極めて重要な意味を持ちます。なぜなら、債務者側は、貸金業者に支払った振込票等を保存せずに捨ててしまっているのが通常であり、債務者側が支払について立証することは極めて困難であるからです。
 
通常消費者金融は、利息制限法を超える金利を取っていますので、長期間の取引をしていると、債務者側が逆に消費者金融業者からお金の返還を受けられる場合があります。
 
今回の判例は、その過払金返還手続にとって非常に大きな意義を有すると言えます。


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2005年06月27日

弁護士が使う資料に、「慰謝料請求事件データファイル」(新日本法規)という本があります。
 
この本の離婚慰謝料を見てみると、
 
平成2年6月19日神戸地裁判決婚姻8年で慰謝料600万円
 
平成3年3月29日岡山地裁津山支部判決婚姻9ヶ月で慰謝料150万円
 
平成3年7月16日東京高裁判決慰謝料200万円
 
平成5年12月14日秋田地裁大曲支部婚姻1年10ヶ月で慰謝料20万円
 
平成6年2月22日神戸地裁判決婚姻5年で慰謝料200万円
 
平成11年7月30日横浜地裁相模原支部婚姻39年で慰謝料200万円
 
平成12年3月8日大阪高裁婚姻24年で慰謝料2,063万円
 
と、なっています。
 
慰謝料が、実に20万円〜2,063万円まで差があります。
 
一般には、離婚慰謝料は、100万円〜500万円くらいです。個々の事情によって異なります。
 
では、2,063万円の慰謝料は一体何でしょうか。
 
判決を読んでみると、これは純粋な慰謝料ではありません。夫の暴力により、右鎖骨骨折や腰椎椎間板ヘルニア等の後遺障害が生じたため、労働能力を喪失し、後遺障害逸失利益として損害算定されているためです。
 
離婚慰謝料としては、そのうち350万円が認定されているだけです。
 
つまり、たまたま見たニュースや判例等で金額が高かったり低かったりしても、実際にはその内容を見てみないと判断できないということです。そのためにも、法律問題で困ったときは、弁護士に相談するようにしましょう。
 
 
 


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2005年06月14日

交通事故の被害者側で損害賠償訴訟を手がける弁護士にとって残念な最高裁判決が、平成17年6月14日に出ました。
 
後遺障害事案や死亡事故では、被害者が将来得られたであろう収入が逸失利益として、損害賠償の対象となります。ただし、「中間利息」が引かれます。(死亡の場合には、生活費に使用したであろう割合も引かれます)
 
「中間利息」とは、将来段階的に得るはずの収入を今一時金として算定するため、運用益に相当する利息相当分を差し引くというものです。
 
この中間利息は、低いほど賠償額が高くなり、被害者に有利になります。
 
現在の低金利時代にあっては、銀行に預けておいてもほとんど金利がつかないことを考慮して、地裁、高裁レヴェルでは、中間利息を年3%とする判決がいくつか出されていました。
 
ところが、最高裁は、この点に決着をつけ、中間利息を民法所定の年5%が妥当とする判決を出したそうです。
 
私は判決文を読んだわけではありませんので、全ての場合に適用されるのかわかりませんが、ニュースで読んでショックだったので、書いてみました。
 


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2005年05月17日

大阪高裁平成16年10月15日判決(判例時報1886号52頁)
 
会社が倒産したため、信用保証協会から、会社の連帯保証人である夫に対し、会社の保証債務の求償がされましたが、夫は、その時点で、すでに妻と離婚し、所有不動産を財産分与を原因として、妻に譲渡して(所有権移転登記)しまっていました。
 
そこで、信用保証協会は、元妻に対し、不動産の財産分与は詐害行為であるとして、取消を求める裁判を起こしました。
 
ところで、詐害行為とは、このような債務者(本件では夫)の財産処分行為(贈与したり、売却したり)によって債務者(夫)が財産を失い、総債権者が弁済を受けられなくなる場合に、その処分行為を取り消す制度です。
 
判決では、実質上この不動産は、夫婦の共同財産であり、半分の財産分与は正当であるが、半分を超える部分は不当に過大であって、財産分与に仮託してなされたものであるとして、半分を超える部分の譲渡を取り消しました。
 
しかし、取り消すとは言っても、不動産を二つに切るわけにはいきませんので、裁判所は、半分を超える部分をお金で評価して、お金で賠償せよと命じました。
 
一般に、債権者の追及を免れるため、夫婦が離婚し、その財産を妻に移してしまえば大丈夫だ、という情報が流れているようです。しかし、それほど甘くはないということです。
 


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