交通事故

2012年07月06日


交通事故に遭った際に、損害賠償の示談交渉や裁判が必要となるときがあります。

その場合に、弁護士費用を最大300万円まで保険金で支払ってくれる制度があります。

ご存じでしたか?

自動車の任意保険の特約についているものであり、一般に「弁護士費用特約」というものです。

この弁護士費用特約、平成22年度には、契約数が1430万件を超えたそうです。

しかし、なんと利用率は、0.05%とのこと。


なぜ使わないか、という理由については、「いざというときのために安心はしたいが、実際に裁判沙汰にするのは避けたい」という心理があると、ニュースでは分析されています。

http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/565761/

裁判沙汰にするのは避けたい、というのは、弁護士を使わない理由であって、「弁護士費用特約」を使わない理由ではありません。

その意味で、この分析は正確ではありませ。

それはさておき、みらい総合法律事務所では、交通事故の被害者からの依頼を受けて損害賠償請求をすることが多いのですが、結構な割合で「弁護士費用特約」がついています。

しかし、被害者の側から、「弁護士費用特約を使いたい」と言うケースは多くありません。

つまり、「弁護士費用特約」がついている、ということを知らないケースが多いのです。

この「弁護士費用特約」は、自分の自動車保険にかけているケースだけに適用されるわけではありません。保険の内容によって異なりますが、多くの場合、同居の親族や独身の場合には別居の両親などがかけている自動車保険に「弁護士費用特約」がかけてある場合にも本人に適用されることとなっています。

おそらくほとんどの方が知らないのではないでしょうか。

保険会社は、保険金が出る場合について、もっと保険契約者に説明した方がよいでしょう。




taniharamakoto at 09:05コメント(3)トラックバック(0) 

2012年02月19日

2月18日午後、大阪で、横断歩道を渡っていた男性(71)が車2台に轢かれ、死亡する事故がありました。

2台に轢かれた、というのは、ニュースによると、こういうことです。

横断歩道を渡っていたところ、1台目に接触して、そのまま30メートル引きずられて路上に転倒し、その1台目が救護せずに逃走。

その後2代目に轢かれ、搬送先の病院で死亡した、とのことです。

2台目の男は、自動車運転過失致死傷罪で逮捕されました。

http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/nnn?a=20120219-00000004-nnn-soci

1台目の車は、自動車運転過失致死傷罪と道路交通法違反(ひき逃げ)容疑で、捜査中です。

今後、死亡の原因が何だったのか、解明されることになります。

1台目の事故によるものか、2台目の事故によるものか、ということです。

仮に、死亡の原因が2台目のトラックによって轢かれたことによるものだった場合、1台目の車の運転手は、無罪でしょうか?

そんな不合理なことはないでしょう。

1台目が轢かなかったら、2台目の事故もなかったのです。

過去の判例では、過失で人を轢いた後、被害者が後続車にひき殺された場合にも、1台目の運転手に罪を認めています(大阪高等裁判所昭和52年11月22日判決)。

ちなみに、2台目の運転手は、そのまま逮捕されたので、自動車運転過失致死傷罪で最大7年の懲役、逃げた方は、これにひき逃げが加わりますので、最大15年の懲役です。

ひき逃げは、とても重い罪ですが、今回逃走せずに救護していたら、もしかしたら一命をとりとめていたかもしれません。

もし、運転中、不注意で人に接触して怪我をさせてしまった場合には、必ず救護するようにしましょう。



taniharamakoto at 13:00コメント(0)トラックバック(0) 

2012年02月12日

危険運転致死傷罪について、改めて解説します。

危険運転致死傷罪は、平成13年11月28日に、第153回国会において成立し、12月5日に公布され、12月25日に施行されたものです。

【条文】


刑法第208条の2
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。その進行を制御することが困難な高速度で、又はその進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させ、よって人を死傷させた者も、同様とする。
2 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、前項と同様とする。赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転し、よって人を死傷させた者も、同様とする。



今は、傷害の場合に最高15年以下の懲役、死亡の場合に最高20年以下の懲役となっていますが、この条文ができた時は、傷害の場合に最高10年以下の懲役、死亡の場合に最高15年以下の懲役でした。

平成17年1月1日施行の改正法により、罰則が引き上げられたものです。

また、当初は、「四輪以上の自動車」と限定されていましたが、平成19年6月12日施行改正法により、原動機付自転車や自動二輪車による事故にも適用されるようになりました。

【成立の背景】

この罪ができる前は、自動車事故の加害者は、全て業務上過失致死傷罪で罰せられていました。

刑法211条
業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、5年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。


そんな中、平成11年11月28日、東京都世田谷区の東名高速道路東京IC付近で、飲酒運転のトラックが、風と3歳・1歳の2女児の3名が同乗する普通乗用自動車に追突。

また、平成12年4月に神奈川県座間市の座間南林間線小池大橋で、無免許、無車検、無保険、かつ飲酒運転で、検問から猛スピードで逃走していた建設作業員の男性が運転する自動車が歩道に突っ込み、歩道を歩いていた大学生2名を死亡させた事件が発生しました。

その後、危険な運転による自動車事故に、最高5年の懲役しか科せないとは不合理であるとのことで、署名運動が行われ、平成13年10月に法務大臣へ最後の署名簿を提出した時には合計で37万4,339名の署名が集まったそうです。

そのようなことを受け、危険運転致死傷罪が創設されました。


【法的な性質】

平成19年6月12日施行の改正刑法により、新たに「自動車運転過失致死傷罪」が創設され、最高7年以下の懲役が定められ、過失による自動車事故は、この条文により処罰されることになりました。

刑法第211条2項
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。


危険運転致死傷罪は、傷害の場合には懲役15年以下、死亡の場合には20年以下の懲役ですから、自動車運転過失致死傷罪の法廷刑よりも格段に重い処罰となっています。

その理由は、危険運転致死傷罪が成立するためには、運転者が過失ではなく、故意に危険運転行為を行ったことにあります。つまり、通常の自動車運転過失致死傷罪は、脇見運転や一時停止義務違反など、過失犯です。

ところが、危険運転致死傷罪では、次の5つの、特に危険な運転行為を故意に行ったことが必要になるのです。

1)アルコール・薬物の影響により正常な運転が困難な状態で走行

2)進行を制御することが困難高速度で走行

3)進行を制御する技能を有しないで走行

4)人又は車の通行を妨害する目的で走行中の自動車の直前に進入その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転

5)赤色信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転


上記の5つのいずれかに当てはまる行為をし、その結果、事故が起こった場合には、危険運転致死傷罪が成立します。

その意味で、危険運転致死傷罪は、「結果的加重犯」と言われています。


【要件の検討】

「アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態」

「正常な運転が困難な状態」とは、道路や交通の状況に応じた運転操作を行うことが困難な状態のことです。

飲酒などにより、目が回った状態であったり、運動能力が低下してハンドルやブレーキがうまく操作できなかったり、判断能力が低下して距離感がつかめなかったりして、正常に運転できない状態のことを言います。


「アルコールの影響で正常な運転が困難」かどうかの認定方法としては、呼気検査により、呼気の中にどれだけのアルコールが検出されるか、直立・歩行検査でフラフラしていないかどうか、事故直後の言動でろれつが回らない、目が充血している等の兆候があったか、蛇行運転をしているなどの事実があったか、本人や関係者の証言により、どの程度の飲酒をしていたか、事故前後の言動はどうだったか、などを総合して認定されます。


正常な運転が困難であったことについては、検察側が立証しなければなりません。そこで、飲酒運転により人身事故を起こしてしまった運転者は、飲酒の発覚をおそれ、逃走(ひき逃げ)をしてしまうケースが出てまいりました。そして、後刻、あるいは後日逮捕されたとしても、すでにアルコールが抜けており、アルコールの影響により、「事故当時」正常な運転が困難であったことの立証が困難となってしまうのです。

そうなると、自動車運転過失致死傷罪とひき逃げで立件せざるを得ません。

この場合、両者は併合罪となり、最大15年以下の懲役刑です。

危険運転致死傷罪の最大20年よりも軽い刑罰となります。

そこで、飲酒をして事故を起こした加害者は、危険運転致死傷罪になるのを免れるため、現場から逃走してしまう、という行為が行われるのです。

これが、いわゆる「逃げ得」の問題です。

この点は、立法により解決するしかないと考えています。


「進行を制御することが困難な高速度」

「進行を制御することが困難な高速度」とは、速度が速すぎるため、道路の状況に応じて進行することが困難状態で自動車を走行させることです。

これは、具体的に「●●キロ」と決まっているのではなく、具体的な道路の道幅や、カーブ、曲がり角などの状況によって変わってきますし、車の性能や貨物の積載状況によっても変わってきます。


「進行を制御する技能を有しない」

「進行を制御する技能を有しない」とは、ハンドルやブレーキ等を捜査する初歩的な技能すら有しない場合が想定されています。

運転免許の有無は関係ありません。

たとえ、運転免許がなくても、普段無免許を繰り返しており、運転技術がある場合には、この要件には当てはまりません。


「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に侵入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度」


「通行を妨害する目的」というのは、「相手を走行させない」という意味ではなく、逆に、相手に自車との衝突を避けるための回避行為をとらせるなど、相手の安全運転を妨害する目的を言います。

相手が自車との衝突を避けるため急な回避行為をするときは、重大な事故が発生しやすいことに着目したものです。

「重大な交通の危険を生じさせる速度」は、自車が相手方と衝突すると、重大な事故になりそうな速度、あるいはそのような重大な事故を回避することが困難な速度を言います。

20~30キロ程度出ていれば、状況によってはこの要件に当たると解釈されています。


「赤信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度」

「これに相当する信号」とは、赤信号と同様の効力を持つ信号のことで、警察官の手信号のようなものを指します。

「重大な交通の危険を生じさせる速度」は、やはり20~30キロ程度出ていれば、要件に当たるでしょう。

その程度の速度でも、赤信号を無視して交差点に侵入されば、重大な事故が発生しやすいためです。


【最後に】

「危険運転致死傷罪」は、まだ自動車事故の最高刑が、「業務上過失致死傷罪」の5年だった当時に創設されたものであり、当時としては、特に危険な類型を抜き出したものです。

しかし、その後、まだまだ危険で重大な事故も発生しています。

たとえば、薬を飲まなければ、発作が起こる確率が高く、その状態で運転すれば重大な事故につながるかもしれないことがわかっていながら、薬を飲まずに運転し、発作が起こって人を轢いてしまった場合、危険運転致死傷罪の要件に当てはまりません。

アルコールや薬物の影響で「正常な運転ができない」場合と何が異なるでしょうか。

また、1つ1つの要件は満たさないが、いくつもの危険行為が重なっている場合、危険運転致死傷罪は成立しません。

危険運転致死傷罪が創設されてから、すでに10年以上が経過しています。

ここでもう一度検討し直す時期に来ているかもしれません。



taniharamakoto at 18:08コメント(0)トラックバック(0) 

2012年01月10日


お守りが道路交通法違反!?

以下は、デーリー東北新聞社の記事です。

================
自家用車内に張れる吸盤付きの交通安全のお守りには根強い人気がある。それ以外でも、人形やステッカーをフロントガラスに飾っている車は少なくないが、実は、その行為は厳密には道交法違反。青森県警は「しっかりルールを守ってほしい」と呼び掛けている。
 県警交通指導課によると、フロントガラスやルームミラーなどに物をぶら下げるのは、ドライバーの視野を妨げる危険性があるとして、道交法第55条に定められる「乗車積載方法違反」の疑いがあるという。ただ、取り締まりの明確な基準はなく、違法かどうかの判断は現場の警察官に委ねられているようだ。
================
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2012/01/09/new1201091601.htm

そうでしょうか。

道路交通法55条2項は、次のように規定しています。
車両の運転者は、運転者の視野若しくはハンドルその他の装置の操作を妨げ、後写鏡の効用を失わせ、車両の安定を害し、又は外部から当該車両の方向指示器、車両の番号標、制動灯、尾灯若しくは後部反射器を確認することができないこととなるような乗車をさせ、又は積載をして車両を運転してはならない。

ここでのポイントは、「運転者の視野を妨げるか」「ハンドルその他の装置の操作を妨げるか」「後写鏡の効用を失わせるか」というところだろうと思います。

リンクした画像に写っているお守りでは、運転手の視界からすると、Aピラー(フロントガラスの横の柱)と重なっているように見えますし、大きさから言っても、それらを妨げたり、失わせたり、というようには見えません。

また、東京でいうと、東京都道路交通規則というものがあり、その8条で禁止行為が定められていますが、その中でも、「(8) 後写鏡の効用を妨げるように、物を置き、又はカーテンの類を用いないこと。」という規定がありますが、写真のお守り程度では、後写鏡の効用を妨げるとは言えないでしょう。

結局、吸盤付きのお守りで、道路交通法違反となるのは、相当の大きさのもので、運転者の視野を妨げたり、バックミラーの効用を失わせたりする程度のもの、ということになると思います。

最近、交通関係のニュースが多いようです。

道路交通法を遵守するのは当然ですが、記事に過剰反応しないようにすることも大切です。

ただ、運転手の視界は、広い方がよいので(本当は、Aピラーも透明の方がいいと思います)、フロントガラスに吸盤付のものをぶらさげるのは、法律違反かどうかは別にして、やはりやめた方が良いと思います。



taniharamakoto at 11:30コメント(0)トラックバック(0) 

2012年01月04日


交通事故死者数が、11年連続で減少しました。

警察庁発表によると、昨年の全国の交通事故死者数は前年より252人少ない4611人だそうです。

特徴として、65歳以上の高齢者が2262人で全体に占める割合が49%と依然として高く推移しています。

昨年の事故件数は69万907件で、1992年以来19年ぶりに70万件を下回ったとのことで、負傷者数も、85万2094人で、2005年から7年連続減となったということです。

事故が減少傾向にあることは、よいことです。

医療の救急救命技術の向上によって死者数が減っていることも原因の一つだと思います。

重傷被害者の数も、統計に入れていただけると、もっと実態がわかるのではないか、と思います。

私の事務所にも、高齢者が被害者の事故の相談が多数寄せられます。

高齢者の交通安全対策、事故対策が望まれるところです。

ちなみに、昨年、交通事故死者数がもっとも多かった県は、私の故郷の愛知県でした。

残念!(>_<)



taniharamakoto at 13:48コメント(0)トラックバック(0) 

2011年12月26日


常識では考えられない事故が起こりました。

12月4日、立川警察署は、フロントガラスが割れたままで走行する車を発見し、運転手に呼気検査をしたところ、呼気1リットルあたり、0・65ミリグラムのアルコールが検出されたため、道交法違反(酒酔い運転)で現行犯逮捕したそうです。

ところが、その後の調べで、一晩のうちに飲酒の上、ひき逃げ事件を2件起こしたことが明らかになり、運転手を危険運転致傷罪、同乗者を、酒気帯び運転同乗罪で逮捕したとのことです。

ニュースによると、2人は、4日夜に、昭島市内のスナック2店で飲酒後、車を運転し、踏切で停車中の車に追突して軽傷を負わせ、その後別のスナックで飲み直した上、車を運転し、青信号で渡っていた自転車の男性をはねて、そのまま逃走したとのことです。

ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111226-00000520-san-soci



運転者について、法律的には、

1つ目の事故については、飲酒量の立証が難しいところから、
・自動車運転過失致傷罪 7年以下の懲役・禁錮・100万円以下の罰金
・道路交通法違反(ひき逃げ) 10年以下の懲役・100万円以下の罰金

2つ目の事故については、逮捕容疑からすると、
・危険運転過失致傷罪 15年以下の懲役
・道路交通法違反(ひき逃げ) 10年以下の懲役・100万円以下の罰金

となります。

これらは、併合罪となりますので、最も重い刑の長期にその2分の1を加えた刑になりますので、最も重い危険運転過失致傷罪の15年に、その2分の1を加えると、懲役22.5年となります。


同乗者については、逮捕容疑からすると、
・酒気帯び運転の車に同乗した罪、となり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金です。

ひき逃げをしてから、再び飲み直し、さらに車を運転するなど、常識では考えられない行動です。

二人もいて、どうして救護したり、119番に連絡するという行動にならなかったのか、疑問に思います。

飲酒したら、自分では運転しないこと、飲酒した運転手の車には乗らないこと、を徹底していただきたいと思います。



taniharamakoto at 17:37コメント(0)トラックバック(0) 

2011年12月24日


宇都宮地方裁判所は、栃木県鹿沼市で4月、クレーン車が歩道に突っ込み小学生6人が死亡した事故で、自動車運転過失致死罪に問われた男性(26)に対し、12月19日、懲役7年の判決を言い渡しました。

http://www.jiji.com/jc/zc?k=201112/2011121900020&rel=y&g=soc

罪名は、自動車運転過失致死罪で、法定刑の上限が7年以下の懲役となっているので、上限の刑ということになります。

被告人にはてんかんの持病があり、医師から運転しないように指導されていたにもかかわらず、事故前日に薬の服用を怠り、運転をした、ということです。

この事件については、過去にも記事を書いています。
http://ameblo.jp/mtanihara/entry-10869223325.html

小学生6人の命を一瞬で奪った行為に対して懲役7年の判決しか出せないということについては、賛否両論あるところだと思いますが、親はやりきれない気持ちでしょう。

自動車事故についての犯罪では、もっと重いものに、危険運転致死傷罪があります。

これは、次の要件を満たす事故を対象としています。

1)アルコール・薬物の影響により正常な運転が困難な状態で走行
2)進行を制御することが困難高速度で走行

3)進行を制御する技能を有しないで走行

4)人又は車の通行を妨害する目的で走行中の自動車の直前に進入その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転
5)赤色信号等を殊更に無視し、かつ重大な交通の危険を生じさせる速度で運転

今回のクレーン車の事故は、上記要件を満たしません。仮に、危険運転致死傷罪になると、その法定刑は、傷害の場合には懲役15年以下、死亡の場合には20年以下の懲役ですから、自動車運転過失致死傷罪の法廷刑よりも格段に重い処罰となっています。

今回のクレーン車の事故で尊い命を失った小学生のご遺族が、危険運転致死傷罪の改正などを求めて、署名活動を開始したそうです。
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/local/kanuma_traffic_accident/?1324606974

自動車運転過失致死傷罪も、危険運転致死傷罪も、ご遺族の署名活動が一つの契機になって改正が実現しています。

埼玉県川口市で園児4人が死亡した交通事故では、業務上過失致死罪しかなく、懲役5年でした。

その後、自動車運転過失致死傷罪ができましたが、今回6人が死亡し、懲役7年です。

1つの事故で、多人数が死亡した場合の処罰の仕方については、今一度検討の必要があるかもしれません。



taniharamakoto at 16:34コメント(1)トラックバック(0) 

2011年12月23日


大阪府警によると、昨年、自転車が歩行者に衝突する事故が231件発生し、10年前の4倍以上になった。自転車同士の事故も、同じ期間に6倍の489件へと増えたということです。

今年、警視庁が、自転車の歩道走行に対する取り締まりを徹底し、自転車の車道左側走行の原則を順守させる方針を固めて規制に乗り出し、自転車に対する一斉取締を実施するなどしています。

過去記事
http://ameblo.jp/mtanihara/entry-11055544909.html


大阪府警では、道路交通法違反の自転車の悪質運転者に「赤切符」を切っていますが、今年は、昨年の4倍近い約200件に増えたそうです。

ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111222-00000835-yom-soci

大阪府警はピストについて、前後輪ともブレーキがなければ即座に摘発するとのこと。ピスト自転車を持っている人は、すぐにブレーキを取り付けるようにしてください。

また、信号無視や携帯電話は、再三の警告を無視した場合に摘発するとしていますが、そもそも法律違反ですから、これらはしないに越したことはありません。

私の事務所でも、自転車同士の事故や自転車と歩行者の事故で、後遺症が残ってしまうような重い事故の相談が少しずつ増えてきています。

くれぐれも気をつけていただきたいところです。



taniharamakoto at 17:31コメント(0)トラックバック(0) 

2011年12月11日


またひき逃げ事故です。

20日未明、横浜市・栄区で道路脇を歩いていた老夫婦が乗用車にはねられ、男性が死亡し、女性の方が肋骨を折るなど重傷を負いました。

乗用車は逃走していて、警察はひき逃げ事件として捜査しています。

警察によると、現場からおよそ1キロ離れた路上にフロントガラスや自動車の前面部分が破損した黒のワゴン車が放置されていたということで、警察が関連を調べているとのこと。

このワゴン車と加害車両が一致すれば、車の所有者・使用者が割り出されます。

そこからたどれば、犯人割り出しは容易と思われます。

自動車を運転していて、人をはねて怪我や死亡をさせると、自動車運転過失致死傷罪(刑法211条)です。

7年以下の懲役・禁錮または100万円以下の罰金です。

そして、今回は、ひき逃げ、つまり、運転者が果たすべき救護義務を怠っているので、道路交通法72条違反(救護義務)も犯しています。

ひき逃げは、10年以下の懲役または100万円以下の罰金。

自動車運転過失致死傷罪とひき逃げは、併合罪になるので、最長15年以下の懲役に処せられます。

逃げずに助けていれば、最長7年以下の懲役・禁錮なのに、逃げると、最長15年以下と、約2倍になります。

事故を起こして狼狽するのはわかりますが、まずは助けましょう。

その方が、加害者・被害者双方のためです。

隠し通せるものではないのです。



taniharamakoto at 11:26コメント(4)トラックバック(0) 


2011年5月、大阪市浪速区で、タンクローリーが歩道に乗り上げ2人が死亡した事故で、自転車で道路を横断して事故を誘発したとして重過失致死罪に問われた男の裁判があり、大阪地裁は28日、禁錮2年(求刑・禁錮3年6月)の実刑判決を言い渡したそうです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111128-00000373-yom-soci

この事件は、以前もこのブログで書きました。

http://ameblo.jp/mtanihara/entry-10946090231.html

こんな事件です。

ワゴン車が急に車線変更し、タンクローリーの直前に飛び込んできたため、タンクローリーがワゴン車を回避するため、急転回したところ、タンクローリーが歩道に乗り上げ、男性2人をはねて、2人が死亡したという事件。

当初、ワゴン車とタンクローリーの運転手を、自動車運転過失致死の疑いで逮捕したものの、捜査を進めるうちに、事故の原因は、彼らの過失ではなく、自転車運転手の過失であったことが判明。

つまり、ワゴン車が急な車線変更をしたのは、ワゴン車の目前に、突然自転車が飛び出してきたので、それを避けようとしたことが原因であることが判明したのです。

そこで、ワゴン車とタンクローリーの運転手を処分保留で釈放し、かわりに自転車の運転手を逮捕、起訴しました。

その判決が、冒頭の、禁錮2年の実刑判決です。

自転車に乗っている人は、「自転車と自動車だったら、自動車が避けるのが当然だ」とばかり、傍若無人な運転をする人をたまに見かけます。

しかし、自転車の運転がきっかけで、それを避けようとした自動車が事故を起こした場合、自転車の運転手が、その事故の責任を負う結果になる場合もあります。

この事件の場合、自転車の運転手は、実刑で2年間の禁錮刑になるだけではありません。

2人の死亡した遺族から民事の損害賠償請求を受けるでしょう。

その損害賠償額は莫大です。

自転車に保険をかけているでしょうか?

ほとんどの人はかけていません。

全てを自分で負担しなければならないのです。

他人事ではありません。

気をつけたいものです。



taniharamakoto at 11:24コメント(3)トラックバック(0) 
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